祝!ついに中辺路を完歩
那智大社−速玉大社
熊野三山に参拝するための信仰の道、世界遺産に登録された熊野古道の中辺路。一度に歩くのは無理なので、少しづつ分割して歩いてきたが、ついに熊野三山に到達。もちろん、車では何度か訪れたのだが、あるいて訪れると感慨はひとしお。一人で歩くので、車を置いたスタート地点に戻らねばならないから往復を歩くことになる。中世の参拝では当然往復するのだから当たり前と言われそうだし、ヘトヘトになって帰路は峠道を避けて安易にトンネルを通って帰ったこともあったのだけれど。
速玉大社。本来ならば那智大社から歩くべきなのだが今回は速玉大社からスタート
阿須賀神社。なかなか立派な神社だった。佐野王子(後述)での説明によれば、中世には王子だったらしいが、なぜか今は王子とはされていない。
浜王子からまもなく海岸に出る。ここは礫浜で歩きにくい。ただし、礫の様子が極めて興味深かった。写真では判りにくいかも知れないけど、覆瓦構造(imbricated)が明瞭。右側(海側)に向かって積み重なっている。礫が海から水流で運ばれたことを示す。もし、この礫を露頭で見たら、川底で形成された堆積物だと推定してしまうのではないかと思う。
高野坂。この区間はほとんど平坦なのだが、岬の部分では小さな高まりを越える。
高野坂からの眺め
金剛稲荷。その横には「神様をここに捨てないで」との恐るべき看板があった。
本日のルートの半分ほどは国道42号線となっている。歩道もないのに車がビュンビュン走っていて趣がないどころか危険。
小狗峠の茶屋跡。荒れ放題の杉山が地滑りを起こして悲惨なことに。
大狗峠で道が判らなくなった。ここから先の道が判らない。ウロウロしたあげく、やっと小屋の脇に道を見つけた。100mほど進んだらこんなことに。
林道には案内看板が捨ててあった。これじゃどこに進めば良いか分からない。
尼将軍供養塔。説明が不十分でよく判らない
お杉社。かつては王子だったらしい。どうして現在、王子として認定されていないのか、良く分からないが。
これがご神体?
ここから先が熊野古道のパンフレットやガイドブックの写真によく出てくる大門坂
これなら趣がある。
で、ゴールの那智大社。この写真は大雲取越の時もの。今回はあせってぼけた写真しか残せなかった。チッ!ここまで来たのに最後の詰めが甘いなんて......。
熊野古道をあるいた感想は.... 日本の山林が荒れて悲惨なことになっていることにビックリ。山はどこも杉が植えられている。廃村になった山奥の棚田もすべて杉。だが、これらは間伐されることもなく細いまま。棚田ならまだしも、山の斜面に、オリジナルの植生とは無関係にやたら杉を植えて、手入れされないまま放置されているから、地滑りが起きる。今回も地滑り跡を何カ所も遭遇した。
歩いていてもこういった光景はざらに見られる。悲しい光景。これが海に流れて海を汚す。その一方で腐植土が育たないので、鉄分不足で海は磯ヤケを起こす。