高千穂峡

 小学校に入る頃から見てみたいと思っていた高千穂峡。ついに数十年来の望みが叶った。阿蘇の火砕流がつくる溶結凝灰岩を谷が下刻して峡谷を造った。柱状節理の垂直な峡谷の底には静かに河が流れている(峡谷ってことは本来は急流のはずなんですが流れは緩やかなんですよ)。苔むした垂直の岩壁からは所々滝が流れ落ちている。その谷間にはボートが数隻...。
 行ってみると峡谷の深さに改めてビックリ。こんなに深く穿入しているのに、河は静かな流れ(普通のボートを浮かべられる位、つまり池のように穏やかってこと)。が、写真では見えない一面にも気が付いた。ボートが意外にうるさい。岩壁にぶつかったりボート同士がぶつかったりする「ゴーン、ドーン」という音が絶え間なく聞こえる。
 念願の地に来たのだからぜひボートに乗って高千穂峡を間近に見てみたい。と思って行った。ボートは30分待ち。30分で1500円と馬鹿高い。が、とにかく念願の地なのでそれでも乗りたかった。が、男一人でボートに乗るってのは、客観的に見ればちょっとおかしいかも。ボート待ちをしていると、帰ってきたボートの客の何人かの服が濡れているのに気づいた。「ああ、滝のしぶきなんだ」と思っていた。それともう一つ気づいたこと。出ていく人たちはボートをろくにコントロール出来ていないが、帰ってきた人たちは比較的コントロールしている。最初は不思議に思っていたが、考えてみりゃ当たり前で30分の間にある程度上達しているんです。
 ボートに乗って峡谷に入ると最初に有名な真名井の滝がある。なにせ、まだボートのコントロールが出来ないうちにいきなりクライマックスになる。行ってみるとそこはボートがぶつかり合って大混乱。うまくコントロールが出来ないが、間違って滝の下に行くと悲惨なことになるので、なるべく滝から離れようとする。と、他のボートとぶつかる。挙げ句の果てには多数のボートと岩壁にはさまれて動けなくなる。岩壁の水面近くの部分はコケは多数のボートがぶつかったために生えてなく、ボートから剥がれ落ちた白いペイントがたくさん付着している。滝は真名井の滝一つじゃなく小さいものもたくさんある。油断していると直撃を食らってしまう可能性がある。私の前に大学生らしきグループがいた。わざとの可能性もあるが、ボートが滝の下に入り込んでずぶぬれになって騒いでいた(秋の気温じゃ風邪ひくんじゃないでしょうかね)。おまけに、あとで気づいたんですけど、真名井の滝の上は鯉の養殖池になっている。綺麗な水なのかと思ったら、鯉の養殖池の汚水(オーバーフロー水)が降り注いでいるものだった。


これが有名な真名井の滝。このアングルは有名なので皆さんも見たことあるんじゃないでしょうか?



写真では幻想的ですが、実際にはコントロールが出来ないボートがぶつかり合って大騒ぎ。


紅葉が始まったころ(もう少し後だったらもっと素晴らしかったのに)。峡谷の上から見たところと、下から見上げたところ。


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