大台ヶ原
さすが、なかなか美しいところです。アクセスはすごく大変で、神戸から4時間以上もかかった。標高1695mの日出ヶ岳の周りは高原となっている。熊野灘から吹く風雨のために木が育たず、白骨林となっていてとても幻想的でもある。訪れたのは10月中旬で、まだ紅葉の盛りではなかったが、一部は赤くなっていて秋の澄んだ空のもと、なかなか美しい光景でした。こんなに安定した秋の澄んだ空とは言っても、南東の熊野灘、尾鷲側は雲がかかっていて、日本一雨が多いということも感じさせます。
秋の澄んだ空と紅葉、それに白骨林
白骨林。霧深い中でこんな所に出たら気持ち悪いかも。
が、実はここは昭和30年代には深い苔むした森だったそうな。人間の手が入ったこと、天敵がいなくなってシカが増えたために樹皮の食害を受けたこと、等々の複合的な理由によって森が失われたんだそうな。厳しいくも美しい自然の姿だと感動していたのに、ちょっと複雑な気持ち。
ビジターセンターの説明パネル。
シカの食害を防ぐために、木には金網が巻かれている
牛石ヶ原の笹原。左の看板によれば、1960年代にはこの石は笹で半分以上隠れていたのだが、シカの増加によって笹が食べられて、現在では石はこのように現れるようになっているのだそうな。
シカだけじゃない。人間がたくさん訪れるために登山道の草が枯れ、雨で浸食されるようになった。登山道は今ではこのような深い溝になっている。鹿児島の開聞岳でも同じような光景を見たが、開聞岳はせいぜい数百年で形成された土壌であるのに対し、こちらの表土は数万年以上かけてできたもので、よりダメージは大きい。
と、暗い話題は横において、美しい光景を
日出ヶ岳山頂から東を望む。右端に尾鷲の海岸が見える。条件が良ければ日本アルプスや富士山までも見えるんだそうだが、残念ながら東側には雲があって見えなかった。
日出ヶ岳山頂から西を望む。知識がないので、それ以上はコメントできないが
途中の道路より南を望む。山また山。十津川村はこの右手奥にあるはず。
大蛇ぐら。ナイフエッジのような岩の稜線の両側は数百mの断崖。足がすくむ。鎖の手すりがあるけど、転ぶとその下の隙間から滑り落ちそう。事故が起こっても不思議はない。写真にすると迫力は全くないけど、記憶に残した姿はこんなもんじゃない。一番のお薦め。
シオカラ谷。ここの谷の両側の道はハード。だが、苦労する割には感動する訳でもない。
なぜか神武天皇の像が山の中にあった。この揮毫は近衛文麻呂(戦前の内閣総理大臣)だそうな。昭和2年に出来たもの。戦中に金属として供出されなかったのか疑問にも思ったけど、天皇の像だから当たり前か。