滝尻王子−近露王子

 滝尻王子から先は、かなりハード。国道は谷底を通っているが、熊野古道は稜線を歩く。標高差は600m以上もあり、疲れたからと言って途中、国道に逃れることも出来ない。歩き始めたらとにかく進むしかない。
 滝尻王子は熊野古道観光の中心らしく、GW時には駐車場も一杯だったそうな。私が行ったときは駐車場はガラガラだったけど、熊野古道を歩いて初めて、他の客と遭った(これまで誰一人として見かけなかったのだが)。2組の者と遭遇。


乳岩。説明を読んでビックリ。ここで赤ん坊を産み捨てたが、帰路にまだ死んでいなかったので連れて帰った。そもそも臨月で熊野参拝に行くというのが頭がおかしい。

不寝王子


祠も何もない。碑と説明看板があるだけ。

高原熊野神社


廃れてしまった王子がたくさんある中、王子ではないが立派な神社がありました。


1403年には既に神社があったそうな。無視され廃れてしまう神社がある一方、永年崇められる神社もある。ま、賽銭目当てのエセ王子ではなく、本当に霊験があるのでしょう。

大門王子


ここはきちんとした祠がありました。

十丈王子


ここも廃れた王子。

このあたりが縦走路の最高標高になる。スタートして水平距離9km, 標高差620m。かなり疲れます。見える光景は山、その向こうに山、そしてその向こうも山。山しかない。


林は山頂まで杉。かつて植林されたものだが、手入れもされず荒れ放題。杉は枝払いをしないと商品価値がない。が、ここでは枝払いなど全く行われていない。間伐していないのは言うまでもない。これじゃ花粉を生産するだけで経済価値は何もない。

大坂本王子

牛馬童子像

良く分かりません。そもそも牛馬童子とは何なのか。実際に見てもさっぱり分からない。と思ったら数日後の新聞に「牛馬童子像が一部壊されていた」との記事。壊れているのかどうかすらも分からない。

近露王子

集落にある。現役の神社。近露(ちかつゆ)とは、ここを訪れた上皇が植物をちぎったところ、茎から赤い汁が出たのをみて、「これは血か露か?」と訪ねたから「ちかつゆ」なんだそうな。サラダ記念日じゃあるまいし。あほらし。

ここまで歩いて13km,ヘトヘト。もう一度標高差600m以上の山に登る元気など残っていない。ので、帰りは安易に国道を歩こうと思った。が、最初の300mほどのトンネルでとても危険を感じた。トラックがビュンビュン走っている。歩道らしき狭いものがあるのだが、地下水とホコリのためにドロドロで歩きにくい。

が、地図を見たら次のトンネルは1.4kmもある。300mのトンネルですら怖いのに、1.4kmのトンネルなんて恐ろしい。と思って地図を良く見たら、旧国道が併走していることが分かった。旧国道ならば交通量も少ないしトンネルは600mしかない。ので、旧国道を歩くことにした。かなり曲がりくねっているので歩く距離は長くなるが、歩き出してみると車には一台も遭わないし、木陰の道でとっても快適。

だったのだが、トンネル。まさか照明がないなどとは想像もしていなかった。直線のトンネルだから光は入るのだろうと思ったのも甘かった。全くの暗黒。視線を遠くに見える明るい点に据えて視線を動かさず、ひたすら真っ直ぐ歩いた。もし蛇行したらトンネルの側溝にはまってしまいそうだし、脇に白いものが見えたりしたら大変。コウモリか何かが飛んだりしたらパニックおこしそう。足の感触で水たまりみたいなところに何度か足を入れたように感じたが、注意力を向こうに見える光のみに据えて、とにかくひたすら耐えて歩いた。

途中で向こうから人が来たら本当に恐ろしいと思う。し、たとえ車で走っていたとしても、こんな中で人が現れたらそりゃ怖い。本当に恐怖のトンネルでした。


道の駅から。熊野古道はこの稜線にある。停まっているのは、なぜか神姫バスだな。


戻る